「発電」「安全」「環境」の3事業

 錦海塩田跡地を再開発するメガソーラープロジェクトは、核となる「太陽光発電事業」のほか、塩性湿地特有の多様な生態系を保全する「環境保全事業」、そして、塩田跡地の浸水対策などを強化する「安全安心事業」という3つの事業から構成された。安全安心事業と環境保全事業については2017年3月までに完了していた(図5)。

図5●メガソーラープロジェクトの計画図
図5●メガソーラープロジェクトの計画図
(出所:瀬戸内市)
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 安全安心事業では、長さ1640mに及ぶ堤防と排水ポンプの補強などを実施し、市に寄贈した。同事業は、地域住民の安全だけでなく、メガソーラー事業の災害リスクを低減するためにも重要だったため、発電設備に先駆けて着工・完工した。

 EPC(設計・調達・施工)サービスは2社となる。太陽光発電設備は東洋エンジニアリング、堤防の補強工事は清水建設が担当した。太陽光パネルは中国トリナ・ソーラー製と中国インリー・グリーンエナジー製。パワーコンディショナー(PCS)は、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製(630kW機・146台)と米ゼネラル・エレクトリック(GE)製(1000kW機・94台)を設置した(図6)。

図6●太陽光パネルはトリナ・ソーラーとインリー・グリーンエナジー製、PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)と米GE製を採用した
図6●太陽光パネルはトリナ・ソーラーとインリー・グリーンエナジー製、PCSは東芝三菱電機産業システム(TMEIC)と米GE製を採用した
(出所:日経BP)
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 竣工式には、岡山県の佐藤兼郎副知事や瀬戸内市の武久顕也市長など自治体関係者、くにうみアセットマネジメントの山﨑養世社長、GEエナジー・フィナンシャルサービスのスシール・バーマ・マネジメントディレクターなど事業者、東洋エンジニアリングの永松治夫社長、トリナ・ソーラーの高紀凡(Jifan Gao)会長兼CEO(最高経営責任者)、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)の山脇雅彦社長など施工関連企業のトップが一堂に会した。

 くにうみアセットマネジメントの山﨑社長は、「メガソーラー事業は安全安心事業、環境保全事業に続く3つ目の柱。今後は、日本最大の太陽光発電所を生かし、産業観光など街づくりに貢献したい」と挨拶した。武久市長は、「メガソーラー計画は、当初、激流を下るボートにように翻弄されたが、最終的には国のエネルギー政策の流れにうまく乗れた」と振り返った。