住宅太陽光から発生した火災、発火、発煙、過熱などの事故情報は、調査時時点で、2008年3月から2017年11月までに、消費者庁が運営している事故情報データバンクに127件が登録されていた。

 この127件のうち、製品評価技術基盤機構(NITE)による原因の調査中だったり、原因不明とされ、かつ、NITEに未登録だった件を除く72件を調査対象とした。調査対象のうち、発火元が太陽光パネルやケーブルだった火災は13件、PCSや接続箱だった火災は59件あった。

 パネルやケーブルから発生する火災の件数は相対的に少ない。しかし、パネルと屋根材が近接しているために、住宅の火災や生命や身体の被害に至る可能性があるため、重点的に調査した。

 以下、発火元がパネルやケーブルだった13件について、その詳細を古い順に取り上げる。

 まず、1件目は、2011年9月に千葉県で発生した。居住者が自宅のベランダで洗濯物を取り込もうとした際、異臭に加えてパチパチと音がしていることに気付いて、周囲を確認したところ、軒先から煙が出ているのを発見し、119番通報した。南面や北面の一部の屋根と屋根裏、パネルが焼損した(図4)。

図4●千葉県の住宅の屋根の被災状況
図4●千葉県の住宅の屋根の被災状況
右は太陽光パネルの撤去後(出所:消費者庁)
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 設置形態は「鋼板などなし型」だった。消防機関によると、防御活動中において隊員2人が感電と思われる症状を訴えた。

 消防機関は出火原因として、特定場所にあったパネルのコネクタを含む配線が、何らかの要因により接触不良を起こして発熱し、時間の経過とともに発炎し、屋根材へ延焼したと推定した。被覆が溶融していたケーブルがあり、施工時にケーブルが器具と建材の間に挟まったり、無理な配線の取り回しなどの原因により、半断線の状態となり発熱した可能性も否定できないという記述もあった。