こうした不具合が生じ、太陽光パネルの出力低下が判明した場合、発電量の減少を最小化するために、速やかに交換することが必要になる。
一方、今後の再発を防ぐためには、まず原因を特定することが重要と言える。それには、高温・高湿の環境において、どのようなメカニズムで劣化したのかを、化学的な手法で分析することが有効と思われる。
バックシートの劣化では、バックシートに付着している酢酸ガス(CH3COOH)の残量が、出力の低下率と関連している可能性が指摘されている。酢酸ガスは、カバーガラスとバックシートの間に充填される封止材として使われているEVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)から生じる。
そこで、バックシートに付着している酢酸ガスを定量化することが、分析の目的の一つとなる。
酢酸ガスは、太陽光パネル内に侵入した水蒸気と、封止材であるEVAが化学反応して発生する。
この劣化は、バスバー(セル上の太い線状の電極)付近の腐食にもつながるなど、さまざまな相関関係が解明されてきた。
こうした劣化メカニズムの解明により、対策の方向性が決まってくる。今回の事例の場合、封止材に採用するEVAに対しては、すでに必要な対策が打たれるなど、太陽光パネルメーカーや材料メーカーの努力によって、改善しつつある。
(次回は、3月31日に掲載予定)