フィルターの取り外しを十分に考慮していない機種も
エネテクが遭遇したフィルターの目詰まりでは、稼働後、一度も清掃していないと思えるような汚れ方も多い(図4)。同社が点検やO&Mを受託し、はじめて訪れた太陽光発電所で、こうした例を目にすることが多いようだ。
PCSの機種によっては、フィルターの取り外しやすさを、十分に考慮していない設計もあるという。
例えば、吸気用と排気用のフィルターが分かれている機種で、排気用のフィルターは筐体の外からネジで固定され、簡単に取り外せるのに対して、吸気用のフィルターは筐体の内側から固定され、さらに固定されている位置も含めて、フィルターの取り外しに苦労する場合があった(図5)。
この機種は出力約50kWで、低圧案件などで多く採用されているが、エネテクが点検したのは、出力2MWの高圧案件で、このPCSを40台使って分散型のシステム構成としていた。
保守性を考慮した設計となっていることが多い集中型のPCSを使う場合に比べて、1台ごとのフィルター清掃に手間がかかり、さらにその作業を40台、連続して行う必要がある。その作業負担はかなり大きい。
分散型のPCSを採用した場合のリスクやO&Mコストが増加する、隠れた要因の一つとなりそうだ。ただし、小型PCSのすべてがこのような設計となっているわけではなく、保守性を考慮している機種もあるという。