杭基礎を打ち直している西側のアレイのさらに西隣では、下っていくような地形となっている林の中で、太い杉の木が下に向けて倒れていた(図3)。

図3●太陽光発電所の隣で倒れていた杉の木
図3●太陽光発電所の隣で倒れていた杉の木
(出所:日経BP)
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 この木の倒れ方も、アレイの被災と同じように、北東側から南西側に向かって時計の逆回りに巻くように吹く台風の強風が、下っていく方向に向けて吹く場所で起きやすい被害だという。

 また、基礎や架台は残っているものの、太陽光パネルがすべて外れていたり、1列すべてのパネルが外れているアレイも、同じような状況でパネルが吹き飛んだと推測できる。

 この太陽光発電所のアレイは、横向き12段という、大きな構成となっている(図4)。こうした大面積のアレイは、設置コストの削減と、面積当たりの太陽光パネルの設置枚数を増やす目的で、事業用低圧の太陽光発電所でよく見られる。

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図4●12段の大きなアレイ
図4●12段の大きなアレイ
(出所:日経BP)
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 しかし、アレイの裏面で風を受ける面積が大きくなるデメリットがある。この状態で強風を受け続けると、凧が揚がる時と同じように、裏面からアレイを持ち上げるような方向に強い荷重が働く。

 似たような例としては、群馬県伊勢崎市で2015年夏に起きた事業用低圧太陽光における損壊がある(関連記事:伊勢崎市で300kWの太陽光発電設備が突風で倒壊、単管パイプ架台が崩壊、関連コラム:【伊勢崎市の太陽光発電システム崩壊】 架台崩壊の背景に不十分な強度設計の可能性)。

 こうした損壊のリスクに対して、十分に対応できる基礎や架台の設計となっていたのかどうか、疑問が残るという。