直列するパネルの枚数が異なると、ストリングごとの発電状況が変わる。
ただし、小型のPCSを使い、PCSごとに異なるストリング構成で揃えるのであれば、パネル枚数に応じて最適にMPPT(最大電力点追従)制御するため、問題はない。
また、PCSの機種によっては、複数の入力系統ごとに、最適にMPPT制御する機能を持つものものあり、その場合、ストリング構成が異なっても発電損失は起きない。
しかし、この発電所では、集中型のPCSを採用していた。どのストリングも、最終的に1台のPCSに入力される。また、このPCSは、異なるMPPT制御に対応できる機種でもなかった。
こうしたPCSを使って、直列枚数が大きく異なるストリングから、発電電力が入力されると、発電量の少ないストリングに合わせてMPPT制御される。
直列枚数が9枚から15枚まで異なるストリングでは、発電量が大きく変わる。発電量の低いストリングに合わせてMPPT制御し、発電するので、15枚を接続した、本来はより多く発電できるストリングでも低い出力に抑えられる。
この発電所では、このほかにも、さまざまな不具合が見つかったという(図5)。いずれも通常は見られないもので、適切に設計することの重要性を改めて認識させられる例といえる。