この低圧の太陽光発電所は、国道から田んぼ1枚を挟んだ場所にある(図5)。西側には田畑、東側には別の低圧太陽光発電所が隣接している。こうした場所で雑草の繁茂を放置し、その雑草にひとたび引火すると、発電所の敷地内だけでなく、隣接する田畑や発電所、国道にまで被害を及ぼす火災を誘発する恐れがある。
雑草と太陽光パネルが同時に燃えているような状態の場合、日中には水をかけて消火できない。日が当たって発電している太陽光パネルに放水すると、水を通して感電する恐れがあるためだ。
ドイツでは、これによって消防士が死亡した例もあるという。
2017年2月に、事務用品の通信販売を手がけるアスクルの埼玉県三芳町にある大規模な物流倉庫で火災が発生した際には、こうした感電事故を防ぐため、はしごによる放水隊に対して、屋上の太陽光パネルへの放水は、水を棒状にして噴射する「棒状注水」を禁止した(関連コラム:埼玉県三芳町のアスクル倉庫火災、太陽光は翌日までに遮断)。棒状に注水すると感電の恐れが高まるため、霧状に散水するようにした。
消防隊員が感電の危険に晒されない手法を採れない場合には、燃えている場所に近づけないなど、太陽光発電設備自体が消火活動の妨げになる恐れもある。
こうした火災事故や財産を失うといった不幸な事故が起きる前に、除草も含めた適切なメンテナンスの重要性を認識し、怠りなく実行して欲しいと近隣の関係者は強調している。