東京高裁は反射光を「適法」と判断

 太陽を正反射した場合に生じる直視できないような反射光は、太陽光パネルが広く設置される以前からも、ビルの窓や瓦屋根などで生じていますが、許容限度を超えるものとは考えられてきませんでした。おそらく、このような被害は、お互いに不可避的に生じさせてしまう上に、目をそらしたりカーテンなどで軽減したりすることで合理的に対応できるからでしょう。それゆえ、この様な反射光被害が許容限度を超えたものとするべき場合は限定的であるべきと考えられます。

 以上を踏まえ、許容限度を超えるものがあるとすれば、例えば、極めて近接して大規模な太陽光発電所が設置されたなどの場合などにおいて、直視できないような反射光が差し込む時間が非常に長くなり、被害者側が自己防衛のためにずっとカーテンを閉めることが強いられるなど、社会通念上、耐えがたいというべき場合ではないかと思われるところです。

 太陽光パネルからの反射光に関する現時点での唯一の公刊事例である横浜地裁平成24年4月18日判決、及び同控訴審である東京高裁平成25年3月13日判決の事案(以下「横浜事案」)では、横浜地裁においては太陽光パネルからの反射光を「違法」と評価し、東京高裁は太陽光パネルからの反射光を「適法」と評価しました。その判断が変更された理由は、一概にはいえませんが、反射光の差し込む時間の認定が大幅に短い認定に変更されたのも重要なポイントであるように思います。

 今回の姫路の事案では、関係証拠などから確認できる限り、太陽光発電所の開発業者において植栽が進められ、これが奏効した結果、取り下げ時においては、反射光の影響が相当程度、抑えられていたようです。

 もしかしたら、本訴においては、裁判所が植栽の進んだ現況を踏まえて従前の状況いかんに関わらず、現況では反射光被害が限定的であることを踏まえ、太陽光パネルの撤去などの判決は相当程度ハードルが高いという心証を伝えたのかもしれません。反射光の問題が争われる事案では、影響を受ける近隣住民は、太陽光パネルを撤去させ従前の状況に戻したいと考え、金銭問題を重視しない方も多いため、太陽光パネルの撤去が認められないのであれば、証拠調べの結果によっては、多少の損害賠償を受ける余地がありうるとしても、さらなる訴訟の継続を望まなかったのかもしれません。