こうした海外メーカー製の分散型PCSは、点検を想定した設計となっていないことがほとんどである。高圧の太陽光発電設備を、電気主任技術者が定期的に点検するという制度は、世界中で日本と韓国にしかないためで、点検時の安全性を考慮せずに設計されている。

 点検を想定していない設計とは、例えば、筐体の扉が封印され、開けられないことがある。封印を解いて開けてしまうと、保証の対象外となる。

 より大きな問題は、スイッチを備えておらず、ストリングごとに直流の発電電力の入力を遮断できないことにある。入力端子はコネクタに繋がれており、そのコネクタに、太陽光パネルからの発電電力が流れてくる電線を直接、差し込む仕様となっている(図2)。海外メーカー製の分散型PCSのほぼすべての機種が該当する。

図2●コネクタと電線を抜き差ししないと絶縁抵抗を測定できない
図2●コネクタと電線を抜き差ししないと絶縁抵抗を測定できない
中国のファーウェイ製の出力25kW機(出所:日経BP)
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 この状態で、定期点検時に絶縁抵抗を測定するには、コネクタから電線を抜いて、絶縁抵抗を測定し、再び電線をコネクタに差し込んで復旧することになる。この作業に、安全性のリスクと損傷のリスクがある。

 点検は、日中に実施される。太陽光パネルが発電し、電気の流れている状態で、コネクタから電線を抜き差しする。

 この際に、海外メーカー各社のPCSの設計上、隣のストリングとの間で、電圧が高い方から低い方に電流が流れる「循環電流」と呼ばれる電流が生じる場合がある。この循環電流によって、点検作業者が感電する恐れがある。また、何らかの原因でアーク(火花)が生じ、感電する恐れがある。

 この二つの感電リスクは、多くのEPC・O&M事業者や、各地の電気保安協会が揃って指摘している。

 ただし、O&M事業者のなかには、自社のEPC事業部門で中国メーカー製の分散型PCSを採用しているため、表立って指摘しにくい状況がある。