自然堤防のみの場所を調査中

 国土交通省・関東地方整備局・河川部の髙橋伸輔・河川調査官によると、今回の越水地点を含めて、洪水時には浸水する恐れがある場所があることを認識し、対応策について調査していた状況だった。

 このような場所では、必要に応じて、何らかの対策が講じられることもある。人工堤防を築く場合もある。その場所の状況や地形、周辺の状況だけでなく、上流や下流の状況など、全体のバランスから、その場所ごとに必要な対策は変わってくる。

 人工堤防を築く場合には、下流地域で危険性が高いと判断された場所から、順に作っていくのが原則となる。下流の備えが十分でない状況下で、上流に大きな堤防を築いてしまうと、下流で氾濫の起きる可能性が高まるからである。

 今回の太陽光発電所の隣接地のように、人工堤防がなく、自然にできた構造物だけが堤防の役割を担っている場所は、どのくらいあるのだろうか。関東地方整備局の管内では、現在、確認中としている。もし、同じような場所があれば、対応策を検討していくことになる。

 また、人工堤防がない場所の場合、河川区域を変えて、自然堤防まで含むように拡大することは難しいのだろうか。

 髙橋河川調査官によると、不可能ではないものの、さまざまな制約があるとのことだった。もちろん、拡大することもある。例えば、新たに人工堤防を築く必要があると判断し、その堤防に必要な長さや幅が、河川区域だけでは収まらない場合である。その場合、必要な場所の土地を買って河川区域とし、堤防の用地とする。

 太陽光発電の関係者の中には、自然堤防を削ったメガソーラーの用地を借り、土嚢を積んだ国交省の措置を評価する声も聞かれる(図3)。

図3●土嚢を積んだ措置を、評価する声も聞かれる
図3●土嚢を積んだ措置を、評価する声も聞かれる
メガソーラーの用地に2段、約1.6mの高さに積んだ。9月12日午後に撮影(出所:日経BP)
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 河川区域外の土地ながら、近隣住民や常総市に対して、「関与できない」という姿勢を取らず、発電事業者に働きかけて土嚢を積むところまで、よく踏み込んだという評価である。

 髙橋河川調査官は、この土嚢を積んだ措置について、「あまり例を聞かない、特別な例だった」としている。元々、自然堤防として機能していたものが、削られてなくなってしまったことによる近隣住民の不安は、それだけ大きかったといえる。

 太陽光発電協会・亀田正明事務局長は、「太陽光発電所の開発を計画している事業者には、近隣の住民や周囲の地域の安全などに、十分に配慮した計画の立案を求めたい」と強調している(トラブルシューティング:【鬼怒川氾濫】「発電事業者のリテラシー不足を懸念」)。