今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。

 今回は、太陽光パネルの「バックシート剥がれ」の起きた発電所を取り上げる。最近、ドローン(無人小型飛行体)による熱分布画像の空撮で発見しやすい不具合の一つとなっているという。

 「バックシート剥がれ」は、文字通り、太陽光パネルの裏面を保護する役割を担っている樹脂製のバックシートが、パネルから浮くように剥がれてしまう状態を指す。

 エネテクがドローンによる太陽光パネルの点検を受託し、この発電所に出向いて熱分布の画像を撮影したところ、大きく円状に温度分布の異常を示したパネルを発見した(動画1)。

動画1●広範囲に切り替わるころに丸い温度異常が写っている
ドローンで発見した太陽光パネルのバックシート剥がれ(出所:エネテク)

 この異常の様子を把握し、原因を推測するために、すぐに地上からこの太陽光パネルに近づいて、状況を確かめた。

 表面からこの太陽光パネルの該当箇所を見てみると、通常は結晶シリコンのセル(発電素子)間に見える白い線が見えない状態だった(図1)。

図1●セル間に見えるはずの白い線が見えない
図1●セル間に見えるはずの白い線が見えない
表面の様子(出所:エネテク)
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