「引き抜き荷重は、必要な強度の11分の1」

 また、奥地建産によると、「杭基礎の埋め込みは80cm。施主によると一部1mの部分もある」。現場を見ると、ほとんど損傷のない架台もある。「施主によると、崩壊した架台の地盤には、約70~80cmまで盛り土をしていた」(奥地建産)。盛り土による地盤の地耐力が特に弱く、加えて、埋め込みが浅かったことが、杭基礎ごと風で引き抜かれ、架台崩壊につながった可能性がある(図6)。

図6●杭基礎ごと飛ばされて、アレイの上に落ちた。単管パイプの黒くなっている部分(80cm)が埋め込み部と思われる
図6●杭基礎ごと飛ばされて、アレイの上に落ちた。単管パイプの黒くなっている部分(80cm)が埋め込み部と思われる
(出所:日経BP)
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 加えて、奥地建産の技術者は、強度設計自体の問題点を指摘する。「単管杭1本あたりの負担面積は最大約9.7m2(モジュール6枚分)であり、JISC8955:2011の風圧荷重の算出方法により、単管杭1本当たりの引抜荷重を算出すると、単純計算で約6000N/本(設計用基準風速V₀30m/s、地表面粗度区分Ⅲ、アレイ面傾斜角度15度)となる」(奥地建産)。

 しかし、「本架台の杭の許容引抜荷重は約540N/本(砂地盤N値3、埋込長0.8m)であり、約11分の1の耐力しか有していないことがわかる。また、許容引抜荷重540N/本を設計用基準風速V₀に変換すると約9m/sとなるが、当地のV₀は30m/sであり、はるかに低い値であると考えられる」(奥地建産)。

 こうしてみると、今回の太陽光発電システムの崩壊は、「想定外の強風」によるものではなく、不十分な強度設計に起因し、起きるべくして起きたと言えそうだ。