今回のシリーズでは、エネテク(愛知県小牧市)が、太陽光発電所の点検やO&M(運用・保守)サービスを担う中で対応してきたトラブル事例を紹介している。同社は、2007年に設立された電気設備工事会社で、太陽光発電の施工も多く担当してきた。O&Mサービスでは、点検時に原因分析だけでなく、状況によっては、その場で不具合の原因を解消するといったワンストップの対応が特徴となっている(関連コラム)。
今回は、低圧配電線に連系している太陽光発電所で、売電が停止してしまった例を取り上げる。2018年の夏から秋にかけ、立て続けに襲来した台風の強風によって起きたとみられる。
いずれもエネテクのO&M(運用・保守)サービスの受託先の低圧太陽光発電所で、現地に駆け付けて調べたところ、複数の発電所が似たような原因で停止していることがわかった。
例えば、東京電力管内の低圧太陽光発電所では、遠隔監視システムの警報で売電が停止していることがわかり、エネテクのO&Mサービスで遠隔監視を担う「ソラパト監視センター」(関連ニュース)から、現場対応部隊に駆け付け対応を指示し、現場へ急行した。
エネテクの点検担当者が発電所内に入って調べてみると、パワーコンディショナー(PCS)は稼働を止め、待機の状態になっていた。
また、PCSのブレーカーは、すべてオンの状態だった。この状態であれば、通常はPCSに電気が通り、ある程度の電圧を計測できる。しかし、電圧は極端に低かった。
次に、1次側(電力系統側)のブレーカーを通じて電圧を計測した。ここでは、電圧がゼロを示した。ここまでの調査によって、連系先の低圧配電線側のトラブルであることが判明した。
そこで、東京電力グループに対応を求めた。電力会社による点検によって、高圧配電線から引き込んで変圧し、連系先の低圧配電線に接続する設備に不具合が起きていることがわかった(図1)。
