海外製パネルが74%に上昇

――物件仲介サイトに現れない膨大な低圧案件が、何らかの理由で建設されないまま滞留しているということですね。FIT改正による事業計画認定への移行によって、こうした滞留案件が失効すれば、健全なコスト競争が促されるはずです。

井上 事業用低圧案件の分野は、未稼働案件の比率が多く、強風でパネルが飛ばれた例が報告されるなど、悪いイメージもありますが、ほとんどの事業者は、調達や施工を工夫するなど、売電単価の低下に対応して懸命に努力しています。

――太陽光パネルの調達では、海外製の比率は、どの程度になっていますか。

井上 住宅市場に比べると国産ブランドへのこだわりは少なく2013年でも57%が海外製パネルでした。その後、海外製の比率は、一貫して高まり、2017年には74%になりました(図4)。売電単価が低下するなか、システムコストを抑えて、利回りを確保するためです。

図4●太陽光パネルの種別(国産・海外)
図4●太陽光パネルの種別(国産・海外)
(出所:グッドフェローズ・タイナビ発電所の集計データ)
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  加えて、海外製パネルが安定稼働している実績が増え、「海外製でも大丈夫」との認識が開発事業者や投資家の間で根付いてきたことも背景にあります。

――パワーコンディショナー(PCS)についてはどうですか。

井上 PCSに関しては、掲載案件を対象に集計していませんが、大雑把に言うと、国産が6割で海外製が4割というイメージです。太陽光発電所の心臓部でもあり、パネルに比べると国産志向が根強いです。高圧案件で東芝三菱電機産業システム(TMEIC)など国産ブランドが強いように、事業用低圧案件では、オムロンや田淵電機、安川電機などのシェアが高く、ここにきてSMAソーラー・テクノロジーなど海外製が増えてきました。