強気の地権者が減り土地購入へ
――事業用低圧案件の場合、300坪(990m2)程度の用地が目安になり、購入(売買)と賃貸の両方があるようです。土地契約に関して変化があります。
井上 2015年から掲載案件の土地契約形態を集計し始めました。2015年には、賃貸と売買は概ね半々でしたが、2017年には7割が売買になっています(図6)。
この背景には、FITスタート当初、地権者が強気で、売買が成立しにくかったこともあります。太陽光に向いた土地では、多くの事業者が殺到し、一般的な開発事業者が受け入れらえないような、低圧案件1区画で300万円とか400万円という価格を提示していたようなケースも聞いています。売電単価が下がるに従い、地権者側も制度を理解し、今後条件が悪くなる一方であると予想し、もっと安い価格で売るようになったのでしょう。
――用地を購入している案件では、20年経ってFITの期間後も、発電事業を継続するのでしょうか?
井上 それは、発電所を購入した投資家の考え方次第です。20年後に太陽光の電気がどのくらいの価格で売れるのか、そして、その条件下で再投資して発電を継続するのか、止めるのか、または売却するのか、などの選択肢から選ぶことになります。
ただ、個人的には、将来、新電力などの電力小売事業者が、FIT後の太陽光発電所をこぞって購入する可能性もあると見ています。政府は、2030年のベストミックスで定めた非化石電源比率(再エネと原子力で44%)の達成を各電力小売事業者にも課す方向です。
実際にいつから、同程度の義務をかけるのか、本格的な議論が始まっていませんが、こうした制度の枠組みが明らかになっていけば、太陽光発電所を購入したり、囲い込んだりする動きが一気に加速すると見ています。