草刈りしやすい基礎と架台、配線
――メガソーラーの設備そのものにも、メンテナンス性を重視しているとは、例えば、どのようなことを指すのでしょうか。
例えば、乗用型草刈機を使いやすくしています。コンクリート基礎と鉄製架台の構成は、耐荷重性や長期信頼性を満たすことはもちろん、太陽光パネルの下までしっかり草を刈れるように工夫しています。乗用型草刈機が、太陽光パネルの下も走れます。
送電ケーブルの敷設方法も、乗用型草刈機の走行に影響が少ないように配慮しています。
――具体的に、どのようにメンテナンスしているのでしょうか。

太陽光パネルの電気的な検査を毎月実施しているほか、日常的にパネルを含む発電設備を目視点検し、カバーガラスやアルミフレーム、接続箱やパワーコンディショナー(PCS)の筐体、送電ケーブルを収めたラックなどが一定以上に汚れている場合には、常に洗浄しているなど、多岐にわたります。
草刈りも、春から秋の雑草の伸びやすい季節を中心に、こまめに実施しています。41カ所の発電所のほとんどが九州北部と山口県に集中していることで、メンテナンスを効率的にできます。
太陽光発電所の運用やメンテナンスは、主に三つの組織で担っています。一つは、本体の保安部です。電気主任技術者が所属し、主に電気保安管理業務を担います。電力会社との折衝は、この部署が担当しています。
二つ目は、遠隔監視・計測を専門とするグループ会社である、アスリード(北九州市)です。メガソーラーを常時、遠隔監視しており、例えば、何らかの異常を確認した時には、すぐに関係先に連絡します。
三つ目は、現地でのメンテナンス活動を担うグループ会社、九州メンテナンス(同)です。週ごと、月ごとに点検や営繕の計画を立て、41カ所の発電所を分担して日々、点検や草刈り、修繕や清掃といった作業をこまめに行っています。
メンテナンスが行き届かない地域では開発せず
――発電所の開発を、九州北部や山口県に限ってきた理由も、メンテナンスにあるのでしょうか。
そうです。当初は、九州北部のみで開発していました。山口県に進出したのは、九州電力が2014年に接続申し込みへの回答を保留したためです。
九州以外の地域で開発するとしても、一番近い本州である山口県が精いっぱいだと考えました。メンテナンス体制が行き届かない地域に発電所を開発、運営しても、満足する事業性を得られないと考えました。