保守のすべてを請け負う「スーパーフルメンテナンス」
――他社が開発やEPCサービスを担った太陽光発電所に対しても、メンテナンスを請け負っているのでしょうか。
これまでは、メンテナンス体制に余力がなかったため、自社グループで施工した案件以外、断ってきました。ただ、ここにきて、体制が充実してきたことから、今後は自社施工以外の案件でも、条件が合えば引き受け、メンテナンス事業を拡大していくつもりです。
他社が施工した発電所向けでは、メンテナンスの形態が異なってくると思います。自社で運営している発電所や、他社に売却した発電所では、「スーパーフルメンテナンス」と呼ぶ手法を採用しています。もし、ファンドに売却することになったとしても、その発電所では、この手法を継続する予定です。
これは、発電事業者が20年間、修繕やメンテナンスについて、何も考えなくて良いという仕組みです。九州メンテナンスがそのすべてを担います。

例えば、太陽光パネルやPCSなどに不具合が生じ、交換などが必要になった場合や、補修費が必要になった場合には、九州メンテナンスが費用を負担して交換や補修をします。
これに対して、一般的なメンテナンスサービスでは、その都度、発電事業者に見積額を報告し、決断を仰ぐことになります。
その代わり、対価は売電収入の約20%に設定しています。一般的なメンテナンス事業者は、売電収入の5~10%に設定していることが多く、高額といえるでしょう。
メーカー保証外のパネルの交換や、PCSの10年後の基幹部品の交換費などまで想定した費用のため、こうした設定としています。一般的なメンテナンス事業者の場合、これらはその都度、個別の追加出費となります。
売電収入に対して、比較的高い比率に設定しているのは、突発的に高額な修繕や交換の費用が生じた時に、すぐにその費用を支払える発電事業者は、それほど多くないと考えているからです。
償却を終えていない状況にもかかわらず、例えば、5000万円を要する修繕や交換が必要になったとします。その時、発電事業者が支払う決断をできなければ、最悪の場合、発電が止まり、売電収入をロスした状況が続く恐れがあります。銀行への融資の返済の原資も滞ります。
売電収入の約20%を支払い続けることで、このような事態を避けられ、運用・保守についてはすべて賄うというのが、われわれのスーパーフルメンテナンスです。
海外の投資ファンドの中にも、この手法によって、売電機会の損失を防ぐことができ、20年間の収支を高められると考える人が増えています。われわれのメガソーラーに対する引き合いが増えている一因でもあります。
ただし、今後、他社の施工案件のメンテナンスを引き受ける場合、スーパーフルメンテナンスのサービスは適用できません。
自社の基準で設計・施工しているからこそ可能なサービスで、他社施工の案件は、条件がまったく異なります。
責任を持ってサービスを提供できる状況の発電所かどうかを確認した上、点検や計測、草刈りなどについて、メニューを作成し、それを組み合わせるといった内容のサービスになる予定です。
ファンドからのメガソーラーの売却の引き合いに関する記述の一部を修正しました。本文は修正済みです。 [2017/02/08 16:59]