法改正のポイントは3つ

――FITの見直しで、こうした課題にどのように対応していきますか。

松山 太陽光についていうと、対策は3層に分けて考えています。1つめは「新認定制度」の創設による太陽光の未稼働案件への対応です。2つめは、稼働した案件に対して、適切な事業実施を確保する仕組みです。具体的には、点検や保守などの順守を求め、違反した場合に改善命令や認定取消を可能とします。そして、3つめは、今後の新規案件に対し、効率的なコストでの導入を促す買取価格の決定の方式です。

――「新認定制度」の狙いは何ですか。

松山 現在の認定制度は、一種の「補助金制度」とも言え、発電事業の実現性をきちっと見ていく形にはなっていません。極論すれば、土地と設備の決定を確認し、認定するので、あとは勝手に発電して収益をあげて下さい、という制度でした。

 その結果、事業実施の確度の低い初期段階での「認定」となり、買取価格40円/kWhの2012年度案件(以下、40円案件)と、同36円/kWhの2013年度案件(以下、36円案件)のうち、稼働していないものが約36万件も残っています。両年度の認定数は約70万件なので、約半分は滞留しています。

 未稼働案件が接続申し込みをしたまま滞留していると、ローカル系統の空き容量が埋まってしまい、買取価格が低くコスト効率的な後続の案件が接続できません。

 発電事業に取り組む気があるなら、電力会社に工事費負担金を払って接続契約を結び、早く開始すべきだし、投資効率が悪いので建設しないなら早く退出する、というように、どちらかはっきりしてほしいのです。そうしないと、40円案件と36円案件が稼働した場合の国民負担増大の懸念と、系統制約の問題がいつまでも残ります。

 「新認定制度」では、発電事業の実施に関する計画の作成・提出を求め、その前提となる系統との「接続契約の締結」を確認します。「再エネ設備」の認定から「再エネ事業計画」の認定に衣替えします。こうした仕組みを導入する国は、世界でも初めてだと思います。