「情報公開」を条文に盛り込む

――見直しの2つめのポイントとなる「稼働した案件に対して適切な事業実施を確保する仕組み」に関して、その具体的な内容はどうなりますか。

松山 見直しによって、認定制度は、「設備」の認定から、「事業計画」の認定に変わります。そこで、認定した「事業計画」については、稼働後もチェックしていきます。しっかり点検・保守していなければ、改善命令を出します。発電量を見ていけば、ある程度、評価できます。発電量が低下していれば、立ち入り検査し、改善がみられなければ、認定を取り消すことも可能にします。

 自治体との関係では、まず、申請情報を自治体と共有します。各自治体は、地元住民とのトラブルを防ぐために条例を作るなどの取り組みを進めていますが、一度、認定を取ってしまうと、事業者に対応を求めても限界があります。認定を取る前の申請段階から自治体が情報を持てば、事前に事業を止めさせるようなことも可能になります。そのためには、情報公開の規定が必要になります。

――現行法では、情報公開できなかったのですか。

松山 それもやはり「設備の認定」だったからです。財産形成のための一種の補助金制度に近く、認定後はある意味、ほったらかしで、発電事業自体を監視する形になっていません。情報公開にも制限があったのです。法改正によって、条文に「情報公開」を入れることで、それが可能になります。国民の賦課金を投入しているのですから、国民が発電所の情報を見られるようにし、国民の監視下で、健全に運営していく形にします。

 これは、インタビュー記事の前回分で申し上げた3つの壁(コスト、系統インフラ、国民意識・地域との共生)のうち、最後の「国民の理解」「地域との共生」を進めることにつながります。

――どの程度の情報まで、オープンにするイメージですか。稼働後の発電量まで、公開を求められる可能性もありますか。

松山 稼働前の申請に関する情報は、行政情報なので、一般公開には限界がありますが、自治体とは共有できます。稼働後に関しては、事業者名や発電規模、場所については、一般に公開するようにします。発電量については、行政上、それをもとに改善命令を出しますが、一般にまで公開するかどうかは、まだ詰めていません。