買取価格の低下で太陽光産業に改革

――3つめのポイント、「コスト効率的な価格決定方式」は、これから開発する新規案件への参入意欲に大きく影響します。

松山 ここまでに述べた2つのポイントは、未稼働の事業者の健全化、そして、事業を実施する際の健全化などを進めます。これまでは、とにかく「どんどんいらっしゃい」という感じで事業者を呼び込んで来ましたが、今後は、しっかりと、長く発電してくれる事業者に誘導していく制度にします。

 その上で、3つめの「コスト効率的な価格決定」によって、将来、再エネ事業に入ってくる事業者に対し、コスト構造の変革を求めます。

 これは長期的に再エネを持続させるために重要です。目指すのは、2030年、2040年に再エネがFITから自立し、しっかりと発電し続ける産業に育っていることです。これはパネルだけではなく、設計・施工も含みます。それには今のコストは高過ぎます。

――ドイツでのFITの買取価格は、もはや8セント(13円)/kWhまで下がりました。日本は同27円と2倍です。

松山 よくドイツの買取価格が引き合いに出されますが、実は、ドイツよりもさらに低い価格の国もたくさんあります。例えば、中国はすでに同10円を切っています。世界的に見れば、7~9円程度/kWhが相場でしょう。

 なぜ、日本が高いのか。パネルに加え、特に建設費、サービス費が高いからです。ここをどう下げていくか。ドイツでは買取価格を下げていく過程で、太陽光産業に改革が起きました。工期を4分の1に短縮し、機械化で人手を減らし、コスト下げる競争が始まりました。

 日本でも同じような競争が起こり、強い企業、付加価値の大きい事業者が残り、筋肉質の産業になります。2030年に向けてこうした競争を活発化していきます。そのためには今のように実績ベースのコストを積み上げて買取価格を算定する仕組みでは限界があります。ターゲット価格を決めて、競争し、強い事業者が残ってシェアを上げ、全国規模で効率化していく必要があります。

 次の再エネへの再投資の時期までに、こうした強い産業を育て、受け皿を作っておくことが必要です。そのために今回、買取価格の決定方式を見直すのです。