太陽光は3方式が採用可能に

――FIT見直しの報告書では、太陽光については、入札方式と価格低減スケジュール、トップランナー方式による買取価格の算定など、主に3つの価決定方式が記載されました。

松山 太陽光は、規模によって異なる価格決定方式を採用できるようにします。

 メガソーラーのような大規模なものは、案件によってコストがまちまちです。基本的には大規模になるほどコストは下がります。資本力ある大企業が多いので、競い合ってイノベーションも生みやすい。そこで、競わせて価格を決める「入札方式」も採用できるようにします。入札方式を適用できる具体的な出力規模については、今後、詰めていきます。仮に「2MW以上」とすると、件数の多い1.9MWなど2MWをわずかに下回る案件が、対象外になるため、このあたりの線引きは慎重に議論して決めていきます。

 ただ、入札方式は、大規模案件に必ず適用するわけではなく、それによって買取価格が下がると予想される場合に検討します。エリアによってはそうした状況は考えられます。新規参入が活発でなく、下がる見込みがなければ、適用しません。

 一方、住宅用は、さすがに入札方式に馴染みません。太陽光の前に「家」があり、ハウスメーカーが作るわけです。太陽光パネルは、照明や壁材などと同様、家づくりのコンポーネントの1つであって、太陽光だけ切り出せません。「買取価格は下がってもいいが、長期の見通しを示してくれた方が、商品開発しやすい」という声も聞きます。そうなると、「スライディングスケール」と呼ばれる、数年先を見越した価格低減スケジュールを設定する方式が有効に思います。

 また、新設住宅では、太陽光パネルの搭載が当たり前になっていくので、ハウスメーカーは利幅を削っても、搭載する可能性が高い。将来的に太陽光は、ZEH(ゼロ・エミッション・ハウス)の一部になることからも、イノベーションが起きやすいし、そういう流れにもっていきたいのです。

――入札方式の適用も可能になる大規模案件と住宅用の間、ミドルクラスの太陽光は、どうなりますか。

松山 ミドルクラスの領域は、入札方式を適用するには事業者の体力が不十分に思います。まずはこれまで通り毎年、価格を決めていく。ただ、これまでに比べ、より政策的に厳しい価格を決めていくことになるでしょう。