PCS扉にテントウムシがびっしり

――フリーコールに、PCSの再起動などの操作方法に関する質問が多いというのは、サイト現場にPCSの専門家が少ないということですか。

TMEIC そうした面はあります。住宅太陽光の分野からメガソーラーのO&Mに乗り出した事業者はパネルには詳しいのですが、PCSや交流側の系統連系の理解が不十分なケースもあります。一方、電気主任技術者の多くは、キュービクルから連系設備の専門家ですが、パネルやPCSについては、必ずしも知識が十分でない人もいます。

 PCSの精密検査への関心が薄いサイトが目立つのも、こうした知識不足も背景にあるのかもしれません。

――接続箱では、中に小動物や虫が混入してショートの原因になったというトラブル事例を聞いたことがあります。PCSでも、こうしたトラブルはありますか。

TMEIC PCS本体ではありませんが、筐体の扉の隙間に越冬中のテントウムシがびっしり付いていたのを見たことがあります。小動物に関しても、ケーブルを引き込む穴の隙間をパテでしっかりと塞いでいないと、侵入する恐れはあります。

 こうしたトラブルは、施工上の問題ですが、日常点検では、こうした個所の状態も、こまめに目視チェックする必要があります。

 PCSの安定的な運用では、発電事業者とO&M事業者が主体的に担う日常点検と定期点検、そして、メーカーなどのPCS専門技術者が担当する「精密点検」と、その際の部品交換が不可欠と考えています。

 ただ、定期点検でも、絶縁抵抗測定を実施する際には、盤内回路の処置が必要なので、メーカー技術者の対応が必要です。20年間の安定運用には、発電事業者とO&M事業者、そしてメーカーとの連携が重要に思います。

手前(向かって右)から、TMEIC 産業第三システム事業部 第四ユニット サービスマーケティングチームの大屋根照実氏(チームリーダー 課長)、松本誠氏(アシスタントチームリーダー)、茨田裕太氏
手前(向かって右)から、TMEIC 産業第三システム事業部 第四ユニット サービスマーケティングチームの大屋根照実氏(チームリーダー 課長)、松本誠氏(アシスタントチームリーダー)、茨田裕太氏
(出所:日経BP)
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