――「防砂効果」には、どのような需要を見込んでいますか。
Grimberg まず、砂漠地域向けです。こうした地域では、数百MW~GWクラスという、世界的にも規模の大きな太陽光発電所が多く計画されています。砂漠での超大型案件は、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国における出力約1.177GWの「ギガソーラー」に代表され、中東や中国、インド、米国などの地域で計画が進んでいます。
砂漠では、風に飛ばされた砂塵が、太陽光パネルを覆いやすい環境にあります。雨が少ないので、日本のように雨水でパネルの汚れが落ちる効果には、あまり期待できません。
このため、太陽光パネルを洗浄し、発電量の減少を防ぐ運用が増えています。
――住宅用の太陽光パネル向けには、パネル表面が黒く見えるコーティング材も実用化したようですね。
Grimberg これまでの反射防止用コーティング材は、ガラス表面を透明のままとし、反射防止効果をガラス表面に加えていました。
新たに住宅用に開発した製品は、この反射防止効果を維持したまま、ガラス表面は透明ではなく、黒っぽく見えるようにしました(図2)。「屋根材と一体的に見える黒さによって、太陽光パネルが目立たない景観」を実現できます。欧米では、こうした見た目を重視する住宅のユーザーが増えてきているのです。
通常は、青や紫の系統の色に見える結晶シリコン型のセル(発電素子)は、これまでの透明な反射防止コーティングを施したガラスでは、セルの色が目立ってしまいます。これを嫌がる需要を満たすために、反射防止コーティングの選択肢を増やしました。