ベンチャーながら特高案件を受注
特高クラスのメガソーラー案件でEPCサービスを担っているのは、大手ゼネコン(総合建設会社)や世界的なエンジニアリング会社、重電大手などに限られます。合弁とは言え、創立して間もないベンチャー企業が担うのは珍しいと思います。
長谷川 確かに数十MWクラスの案件を受注しようと思うと、競合する企業は限られます。EPCを担当する企業は、着工から完成・稼働後、1~2年程度、瑕疵担保責任を負うことになるので、技術的、財務的にこうした補償に耐えられることが必要です。
そのため、ベンチャー企業がこうした請負業を担うのは厳しい面があります。技術的な能力についてIPP(独立発電)事業者が評価してくれたとしても、ファイナンスを担う金融機関が与信力の高いEPC企業を融資の条件にするため、大手企業が有利です。
そうしたベンチャーの不利をどのように乗り越えたのですか。
長谷川 当初、受注した特高案件では、着工時はIPP事業者がフルエクイティ(全額自己資本)で事業費を賄い、完成して安定稼働後に金融機関のローンに切り替えるようなケースが多かったのが実態です。FIT開始当初は、プロジェクトファイナンスと言っても、銀行は安定稼働までのリスクを避けるためこうしたスキームも多かったのです。
自然電力グループ内の設計・施工で実績を積んでいたため、こうしたフルエクイティの案件でIPP事業者がjuwi自然電力の持つ技術面の能力を評価してくれました。
その後、金融機関は、メガソーラーへの融資に関し建設中のリスクも小さいと評価するようになり、着工時からローン資金を提供してくれるようになりました。そのころには自然電力グループの業績も伸び、メガバンクを含め金融機関からの評価も高まってきました。
グループ内でのEPCを通じて実績を積み、技術力と信用力を高めつつ、他社の大型案件に乗り出せたという点で、着実に階段を上ってきたと思います(図1)。