「直流1500V」の特高案件を着工
長谷川 そのために日本の土木に精通した人材を多く確保しています。ただ、新しい考え方にも取り組めるタイプの技術者を採用するようにしています。
土木コストを抑えるのは柔軟な発想が必要だからです。特に初期段階の造成設計が重要で、林地開発許可の取得を優先し過ぎすると、コストアップの原因になることがあります。このため林地開発許可の手続きをコンサルタント任せにせず、自社で行っています。
最初の段階で、効率的な土木工事の視点も勘案して、林地開発許可の協議を進めることで予想外のコスト上昇を防げます。もちろん地域への配慮や安全対策を疎かにはしません。土木量を減らしつつ、安全面にも配慮することが重要で、相反する面もありますが、それを実現することが、プロジェクトを生かすことになります。
電気設備面も含め、期待している新技術などはありますか。
長谷川 パネル側を構成する直流回路の高電圧化は、システム効率の向上と電気設備工事の簡素化の視点からたいへん効果があります。海外では、すでに1500V仕様が普及し始めていることもあり、国内でも取り組んでいきます。すでに今春、着工する30MWの案件では、直流1500Vでの設計を採用しています。
このほか、注目しているのは、「東西向き設置」と「一軸の追尾架台」です。juwiは米国では一軸追尾架台を導入・運営している実績があります。このタイプのシステムは朝夕に影が伸びるのが課題ですが、設置面積に制約が少なく、設置間隔を開けられる米国では、たいへん有効で、発電量を増やせます。
日本に導入する場合、どんな形が最適なのか、季節によって設置角を変える程度の利用も含め、現在、検討しているところです。
初期コストの削減のため、分散型のパワーコンディショナー(PCS)を導入する動きも目立ちます。
長谷川 分散型PCSは、2MWの高圧連系案件までならば選択肢の1つに考えています。ただ、それ以上の特高案件には、現時点ではチャレンジングだと考えています。日本では、施工やO&M(運営・保守)でいかに人手を減らすかがカギになります。その点、分散型PCSは、膨大な台数を設置し、点検・保守することになります。そう考えると、大規模な案件では現実的ではないと考えています。
