「O&Mには濃淡がある」

ただ、小規模な太陽光事業者は、「発電所」を運営しているとの意識が足りないとの批判もあり、点検・保守に関する規制をもっと強化すべきとの声も聞きます。

大関 そうですね。小規模とは言え、社会インフラの一端を担っている設備なのだから、水道管のように万全な予防保全をしていくべきだという議論もあります。

 このように、太陽光のO&Mに対する考え方には濃淡があります。

 実際には、発電システムの設置環境や形態によっても、状況はかなり異なっており、当然、発電事業者ごとにO&Mへの考え方も変わってきます。

 結局、あるべき姿やそのための法規制などを一律に決めるのは難しい設備だと感じます。それぞれの発電所で、最も効率が良く、かつ、安全性を担保しやすい方法で実施できるのであれば、それで良いとも思います。太陽光発電設備の状況は多様なので、標準的な姿を求めるのは、とても難しいのです。

太陽光パネルはかなり安くなっているので、普段は極力O&Mの手間を簡易化し、「壊れたら、交換すればよい」と、割り切っている発電事業者も多い気がします。

大関 現在は、そうしたO&Mのスタイルが主流となっているようにも感じます。そして、誤解を恐れずに言うと、そうした考え方も、一つの形としてはありえるもので、間違っているとは思いません。

 ただ、従来の集中型電源の発電設備に比べるとメンテナンスフリーに近い考え方をしやすいとっても、「発電設備である」という自覚は持っていなければいけません。エネルギー政策の一端を担っているというマインドは欠けてはいけません。

 とはいえ、O&Mのやり方まで従来の集中型電源と同じであるべきかというと、そこは違っても良いはずです。「何もしなくて良い」という、家電のような姿に近寄り過ぎるのも違います。この両者の中間にあって、幅は広い中での適切なありようを、しっかりと育てていかなければなりません。

太陽光発電設備はさまざまなので、その多様性に合わせて、O&Mのあり方も最適に確立していくのが理想ではないか、ということですね。

大関 太陽光発電設備の多様性というのは、設置環境や設備のハードウェアとしての状況だけではなく、その発電電力の活用形態が自家消費なのか、余剰売電なのか、全量売電なのか、仮想発電所(VPP)のように利用されているのか、また、その地域でどのようにお金を回しているのかなど、社会システムまでを含めた多様性です。

 それぞれの事情に合わせて、どのようなプレイヤーがおり、どの人たちに何をしてもらいたい、そのために技術的にこのようなことをやってもらいたいなど、多様性に対応できるプレイヤーが増えてくることが理想です。

しかし、まったく「ガイドライン」的なものがないと、太陽光技術に詳しくない発電事業者の場合、どこまで点検すればいいか分からないという声も出てきそうです。

大関 確かに、公的な機関から、まったく画一的な姿が示されず、自分たちで作り上げていくようなスタイルは、日本人にとって不得意なことです。

 一方で、もし、太陽光発電のO&Mに関して、画一的な基準が示された場合には、おそらくコストの負担が大きなものになると予想されます。個別の発電所としては不要かもしれない項目が含まれるからです。コスト面で受け入れられるのであれば、日本には画一的な基準を示されて、それに従う方がある意味で「楽」でしょう。与えられた基準の中で、頑張ってコストダウンしていくのは、日本の得意なところです。

 その場合、例えば、多くの基準を盛り込んだ法定点検となっても、その中で人件費を最小化するような事業モデルが確立されるかもしれません。