コストと適正な運用を両立

しかし、安全規の制強がコストアップとなって、太陽光の普及が進まなくなる恐れもあります。

大関 そこが次の課題になります。安全に関する法律面の裏付けが強まり、取り締まりの強化が実現した場合、危険な状態の是正を、いかに低コストで実現していくかです。

 例えば、本来、土木面で十分に対応すべき状況で、それがコスト面で難しい場合、対処的な手法として、簡易的な排水対策を加えつつ、O&Mを手厚くして念入りに対応していくような対応も考えられます。

 本来、こうしたO&Mは、不要なものです。しかし、設備や造成の不備のある発電所において、対処的に加えていくことは、手法として考えておかなければいけません。

 コストと適切な運用の両方を満たす是正を実現できるのかどうかは、業界として頑張りどころになるでしょう。

安全対策の強化に関しても、ある程度、発電所の状況により、民間の努力も含め、多様な形にしておくということですね。

大関 行政による取り締まりは、濃淡をつけないといけない状況にあると感じます。すぐに是正すべきなのは、土砂災害を引き起こす可能性が高い発電所や、構造物が近隣の住宅地に飛散しやすい状況にあるといった、自損事故では済まず、他者への加害性の高い事故を引き起こしかねない発電所です。優先順位として、ここが最も高く、最もしっかり対応すべきです(図2)。

図2●強風でパネルが飛散した事業用低圧太陽光発電所
図2●強風でパネルが飛散した事業用低圧太陽光発電所
(出所:日経BP)
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 構造物が飛散しやすい状況にある発電所でも、周囲に住宅地がなく野山に囲まれているというような場所では、太陽光パネルが1枚くらい飛散しても、他者への加害性は低いと言えます。本当はそれではいけないのですが、取り締まりに当たる人員やコストを考慮すると、こうした場所のリスクを含めて対応する必要があります。

 数万カ所にものぼる太陽光発電所を、行政だけの作業でチェックして取り締まることは、投じられる人員や予算を考えると、現実的でないでしょう。例えば、建築などで先例があるように、チェックする機関を設けたり、第3者が認定する仕組みなども有効です。

 行政と民間で協力し、効果の高いチェック体制を作り上げて欲しいと願っています。