「原発1基分」を目指す

――これまでメガソーラーを主体に25サイトで約350MWの再エネを開発していますが、稼働済みの購入も含めて、どの程度の規模を目指していますか。

阿部 東日本大震災とその後の原発事故を機に、金融の側面から再エネの拡大に取り組んできたこともあり、当初から「原発1基分」を目標に掲げていました。設備利用率を加味して原発1基と同様の発電量を得ようとすると、1.2~1.5GW分のメガソーラーに相当します。特別高圧送電線に連系するメガソーラーなら200カ所程度の件数になります。

 大雑把な試算ですが、日本には約4400万世帯があり、特高クラスのメガソーラーは1サイトで2万世帯程度を賄えるので、2000~3000カ所になれば日本全体に電気を供給できます。200カ所のサイトを持ては、10%のシェアになります。再エネ「200カ所」には、原発1基分のほかにこうした意味もあります。

――再エネのサイト数にこだわるのは、戦略的な意味があるのですか。

阿部 FIT後の再エネ事業の在り方を見据えています。FITでは、電気は電力会社に販売しています。いわば、「B to B」のビジネスです。これに対し、FIT後の再エネ事業は、「B to C」のビジネスになる可能性を秘めています。

 私自身、北海道出身なので、なじみがありますが、寒冷地では、各世帯の軒先に灯油のタンクが備えてあります。再エネ由来の電気が主体になる社会システムでは、あのタンクが定置型蓄電池や電気自動車(EV)に代わるイメージを持っています。そして、全国各地に散らばった再エネ設備で発電した電気を蓄えておくのです。

 これは「B to C」ビジネスに近づきます。そうなると、再エネが蓄電池やEVのハブとして、コンビニのように身近に分散し、面で押さえていくことが重要です。「200カ所の再エネサイト」に意味があるというのは、こうしたビジョンが念頭にあります。