高温・低照度でも発電量が伸びる

P型モジュールでは、両面発電タイプは作りにくいのですか。

Liu Yong(刘勇)上級副社長
Liu Yong(刘勇)上級副社長

Liu 両面発電の場合、N型モジュールの裏面効率は、表面の90%に達しますが、P型では、65~70%が限界と見ています。加えて、P型の両面発電モジュールでは、表面に銀ペースト、裏面にアルミニウムペーストを使います。N型は両面とも銀ペーストになります。

 P型は、表面と裏面で材料が異なるので、特性の違いから、製造中に反りが生じたり、割れのリスクが高まるなど、デバイスとしての信頼性に課題が出てきます。その点、N型は、両面が同じ材料なので内部応力がなく、相対的に信頼性の確保が容易です。

現在の太陽光パネル市場は、P型シリコンセルを使ったPERC(Passivated Emitter and Rear Cell:裏面不動態型セル)型が、コストパフォーマンスの高い量産技術として、シェアを伸ばしています。

Liu P型のPERCモジュールの課題は、運用の初期段階で発電量が減衰する現象を完全に克服できていないことだと思います。これは光の照射によって起きるため、LID(Light Induced Degradation:光誘起劣化)現象、LeTID(Light and elevated Temperature Induced Degradation)現象とよばれています。

 このメカニズムは、完全に解明されていませんが、P型シリコンのドーパント(不純物として添加する元素)であるホウ素が酸素と結びつくことで誘発されると考えられます。新型のPERCモジュールでは対策を打ち、減衰率は小さくなっていますが、完全ではないと見ています。この点、N型セルでは、ホウ素ではなくリンでドーピング(添加)するため、原理的にLID現象は起きません。

そのほか、N型モジュールの利点はありますか。

Liu  N型モジュールは、P型に比べて、高温時に発電量の損失が少ないことや、低照度下でも相対的に発電量が多いことも、発電事業者にとって大きな利点です。特に砂漠などの高温環境下では強みになります。また、オーストラリアのサイトで検証したデータを見ると、曇天時の発電量が、P型モジュールよりも多いという結果が出ています。