今年2月27日、太陽光発電事業者の業界団体として一般社団法人・日本再生可能エネルギー事業者協議会(JSEC : Japan Sustainable Energy Council、事務局:東京都港区)が設立された。発足時の賛同者は法人・個人の約150で、代表理事には山佐(岡山県新見市)で特高・高圧開発責任者を務める東原隆行氏が就任した。東原代表理事にJSEC立ち上げの経緯や背景、活動方針、太陽光発電事業者の課題などに関して聞いた。

「個別企業の訴えは無力」

なぜ、この時期に太陽光発電事業者の業界団体を設立することになったのですか。

一般社団法人・日本再生可能エネルギー事業者協議会(JSEC)の東原隆行代表理事
一般社団法人・日本再生可能エネルギー事業者協議会(JSEC)の東原隆行代表理事
(撮影:清水盟貴)

東原 昨年10月、太陽光発電の長期未稼働案件に対する新たな措置案が経済産業省から公表されました。これはプロジェクトの進捗状況によっては、新たに運転開始期限が設定されたり、買取価格が変わったりする可能性があり、プロジェクトの事業性を大きく低下させるものでした。

 それまでの固定価格買取制度(FIT)のルールでは、運転開始期限が設定されたのは、2016年8月1日以降に接続契約を締結した事業が対象となっており、それ以前に接続契約したものは、運転開始期限は設定されていませんでした。当然、太陽光発電の開発会社は、各プロジェクトのこうした条件を加味しつつ、事業開発計画を立てていました。

 経産省の措置案が明らかとなり、多くの開発会社が「これは一大事」と驚きつつも、どうしてよいかわからず、あたふたしていました。さまざまなルートから何社かの企業が政府の担当者に陳情したようです。しかし、企業が個別に訴えても、「それは自社の利益を一方的に主張しているだけ」と、見られがちです。

 一方で、FITの賦課金を多く負担している企業側に立った経済団体が後ろに構えており、有識者会議など通じて、長期未稼働案件の問題点を指摘してきました。こうした団体組織を前に、個別企業の訴えはまったく無力ということを痛感しました。

 そうしたなか、同じ危機意識を持った企業が3回ほど集まり、関連事業者の意見を取りまとめつつ、対応を協議しました。こうして集約した意見を基に、金融庁や法務省などにも働きかけ、自由民主党の再生可能エネルギー普及拡大議員連盟も動いてくれました。

 最終的には、開発期間の長い大規模案件(特別高圧案件)に関しては、かなり我々の要望が聞き入られる形で当初の案が修正されました。

 JSECの設立は、この時に集まったメンバーが母体になりました。私の属している山佐は、九州における系統増強工事に関する入札(募集プロセス)で辞退者が出た際、参加企業の意向を取りまとめたこともあり、今回は、「誰かが旗を振らないと・・・」との思いからまとめ役を買って出ました。