「長期未稼働=悪」ではない

長期未稼働案件に対する措置案に対しては、太陽光発電協会(JPEA)が影響や要望などに関しアンケート調査し、その影響の大きさを表明しました。

東原 太陽光発電の代表的な業界団体には、すでにJPEAがあり、未稼働案件の件でも取り組んでくれました。それにはたいへん感謝しています。ただ、経産省の有識者会議で今回の措置案が最初に公表された際、「それは実体と違う」という第一声がありませんでした。

 その後、措置案の持つ深刻さに気付き、会員を中心にアンケートを実施し、回答のあった29社の手掛けている開発案件に対する影響を集計しました。これはたいへん意義のあることですが、その後、経産省が公式に実施したパブリックコメントでは、実に約3200件もの意見が提出されました。

 JPEAは発足の歴史的な経緯もあり、太陽光発電設備のメーカーが主体となって運営されています。その役割の重要性はいまも変わりませんが、FITによって急激に増えた事業用太陽光の発電事業者や開発事業者の声を十分につかみ切れていない面もあります。

経産省の有識者会議では、「事業用太陽光の長期未稼働案件は権利売買が目的で問題が多く実現性に乏しい」など、否定的な見方が目立ちました。 

東原 確かにそういう面もあります。太陽光発電の開発事業者は2極化されています。認定取得から設計・建設して発電事業まで一気通貫で手掛ける事業者と、認定や接続契約などを取得しても自ら建設せず、権利売買を目的にした事業者です。後者の権利売買目的の事業者が抱えている未稼働案件には、建設に必要な林地開発許可など土地開発に関わる許認可を進めないなど、現時点で現実性に乏しい案件が多いのも事実です。

 今回の措置案の検討過程では、未稼働案件のなかで、権利売買を目的に滞留しているような案件の課題だけが強調されました。その結果、「長期未稼働=悪」というイメージのなかで議論が進みました。

 しかし、実際には、地道に開発プロセスを進めているケースも多いのです。大規模プロジェクトでは地元説明や自主的な環境影響評価などを丁寧に実施するほど時間がかかります。こうした案件も含めて、すべて一律の措置を適用されては、それまでの努力も含め、関係する事業者の損失は非常に大きくなります。

 未稼働案件に関する対応が、こうした事態になってしまった背景に1つには、太陽光発電開発に関する現場の実体が、国の政策担当者に十分に伝わっていないことがあります。今回、太陽光発電事業者を主体とした業界団体を設立したことで、プロジェクト開発と運営の現状を積極的に政策形成の場に発信していきたいと思います。