FITから「RE100」に価値移行
FITからの自立を考えた時、住宅太陽光や事業所の屋根上太陽光は、自家消費型への移行により、kWh当たり十数円から20数円の経済価値を持ち得ます。敷地内に需要を持たない野立て型太陽光は、卸電力市場で競争しなくてはなりません。
東原 現在の太陽光発電の経済的な価値は、FITに依存しています。卸電力市場の価格以上の値段で販売できるのはFITがあるからです。FIT期間が終了した後、市場価値を越えて太陽光の価値を高めるには、「RE100」加盟企業の増加など、環境価値に期待するところが大きいと言えます。
個人的には、今すぐにでも、FITスキームを使わずに再エネ価値を全面に打ち出して事業性を確保できるならば、そちらに移行すべきだと考えています。
加えて、技術的な面で期待しているのが、蓄電池システムの低価格化です。不安定電源である太陽光を蓄電池と組み合わせて、安定電源にできれば、電気としての価値は大幅に高まります。この分野でのブレークスルーを後押しできればと思っています。
いずれにせよ、今後は、いかにFITに頼らずにメガソーラーが自立していくか、みんなで知恵を出していくことが重要で、発電事業者にとっては、「FITの後こそが勝負」と言え、真価を問われることになります。
政府は、太陽光発電設備の廃止後への対応から、廃棄費用を源泉徴収方式で積み立てるイメージの制度を検討しています。太陽光設備の適正処理やリサイクルに関しては、どのように考えていますか。
東原 太陽光パネルなどの廃棄問題は、たいへんに重要なテーマと認識しています。ただ、源泉徴収のように集めて外部に積み立てるような方法は、柔軟な投資戦略を考えると、やや違和感もあります。
というのは、太陽光パネルの変換効率は急速に向上しつつ、価格も低下しているため、20年間のFIT期間終了を待たずに全面的に張り替える動きが顕在化する可能性もあるからです。実は、すでに山佐では、そうしたケースがあります。
FIT期間の終了後も発電を継続するという視点からも、パネルの交換などは、早めに各発電事業者が判断することが重要です。リサイクル対策には、こうした実情にも配慮して制度を設計して欲しいと考えています。