農業の6次産業化などに財源活用
――農山漁村再エネ法を活用する利点は何ですか。
山本町長 発電事業者にとっては、メガソーラー開発の行政上の窓口が市町村にワンストップ化されます。林地開発の許可は県ですし、民有地の場合、地権者との交渉も大変です。町が窓口になることで、こうした手続きがスムーズになります(図3)。
同法では、町は事業者から売電収入の一部を寄付してもらい、農山漁村の発展につながる事業に活用できることになっています。発電施設の誘致によって、町には固定資産税の収入が期待できますが、それに加えて、農林業を発展させるための財源が増えることになります。
――どんな事業に活用する予定ですか。
山本町長 町に帰ってきた若者の雇用を生み出すような取り組みを考えています。これまでの就農形態に捉われず、いわゆる農業の6次産業化などによって、農林業の周辺に新たな産業と雇用を生み出したいと思っています。いずれにせよ、農山振興に必要な財源を確保する工夫として、寄付金は基金の形で管理し、活用していきます。
――寄付金の決め方については、法律で決められていませんが、事業者とは話がつきましたか。
山本町長 特定目的会社(SPC)の経常利益の一部という形になります。事業期間中の平均的な利益水準を基に比率を決めるので、毎年、変動することはありません。町の事業に活用する上で、年によって額が変わるのでは、予算を組めません。具体的な数値は公表できませんが、発電事業の事業性に大きな影響がない範囲と考えています。