CO2削減効果は森林の50倍
――林地開発によって木を伐採してまでメガソーラーを建設することに対し、本当に温暖化対策になるのか、という批判はありませんか。
山本町長 緑が減るというイメージからそうした印象を持つ人もいますが、伐採した後に太陽光パネルを設置するので、事業期間中、化石燃料の使用削減に貢献し続けます。専門家による二酸化炭素(CO2)の収支試算によると、林地をそのまま維持した場合に比べ、太陽光発電を建設することでCO2削減効果は50倍程度に高まるとの結果もあります。
特に軽米町にある森林は、CO2吸収効果の大きい広葉樹が少なく、針葉樹林が中心です(図4)。しかも、手入れが行き届かず荒れている地域が多いのが実態です。
――基本計画では、林地開発行為面積の上限を10%と定めました。
山本町長 温暖化対策の効果が高いといっても、森林の効用は、そればかりではありません。地域資源の一つである豊かな自然環境の保全としての景観への配慮や、保水力の低下などによる自然災害の防止という観点から、際限ない林地開発には問題があります。実際、町民から防災面を心配する声もあります。そこで「10%」という上限を設けました。
現在、計画中のメガソーラー(9サイト・382MW)がすべて建設された場合、町の林野面積のうち、林地開発行為にかかわる森林面積は5%程度になります。また、太陽光発電の場合、環境アセスは義務づけられてはいませんが、面積規模が大きいため発電事業者に独自に行うようお願いしています。
事業用地としての林地開発の森林面積(森林法第5条に規定する森林面積)は大規模ですが、その5割程度は残置森林になるので、実際に伐採されてパネルや防災施設の調整池が設置される林地開発行為にかかわる森林面積は、林地開発の森林面積の半分以下になります。
しかも、大規模な造成工事はせず、できるだけ地成りにパネルを設置し、保水力の低下を補うために複数の沈砂池を建設します。こうした重要な防災対策に関しては、林地開発関係の許可を出す際にしっかりと評価しています。