経済メリットは地権者以外にも波及

――多くの面積を必要とするメガソーラー事業を民有地で実施する場合、地権者になったかどうかで、町民の間に経済面で明暗が分かれます。こうした点で批判はありませんか。

岩手県軽米町の山本賢一町長(出所:日経BP)
岩手県軽米町の山本賢一町長(出所:日経BP)

山本町長 確かにそうした声があるのは事実です。基本計画に盛り込んだ再エネ発電では、地権者として約330世帯が対象となります。家族も含めると約1000人に達しますが、それでも町民全体の1割程度に過ぎません。

 ただ、大規模工事に伴う地元雇用などを含めればさらに多くの町民が恩恵を受けますし、町に入る固定資産税や国民健康保険税などの増収、寄付金による財源は町民全体に還元されます。

 また、事業者には防災対策や雇用創出は無論のこと、地域活性化につながる取り組みをお願いしています。例えば、建設工事などにあたって、軽米町商工会と十分な連携のもと、町内の土木建築事業者などへの発注や、飲食・燃料などについても商店街を優先的に活用してもらうほか、工事関係者が町内に宿泊するよう作業員の宿泊施設の設置など、地域経済への波及効果が確実なものとなるように要望しています。

 地権者だけが良い思いをするという声には、こうした仕組みによって、再エネの利益が分配されて町が活性化することを説明しています。今後も、地域内の隅ずみまで合意が形成されるよう、努力していく必要があると考えています。

 農山漁村再エネ法による基本計画を策定した町としては、地域づくりや防災面でも適切に計画を推進する責任がありますし、今後とも、町の推進体制を整備・充実していきます。