――両面ガラスの製品は、片面発電・両面発電のいずれのセルを使った場合でも、基本的にアルミフレームを備えていません。コスト面では、両面ガラス品にはアルミフレームが無い方が利点ですが、一方で、アルミフレームがないために、ガラスが直接何かにぶつかって破損するリスクや、架台への固定方法などが課題となりそうです。さらに、両面がガラスのため、パネル1枚あたりの重さが増し、施工の負担が重くなります。

EPC(設計・調達・施工)サービスにとっては、確かに作業の苦労があると思います。
例えば、これまでの太陽光パネルの場合、アルミフレームの部分を持って運び、架台にはアルミフレームの上から治具を使って固定していたのに、そのアルミフレームがない製品の場合、どのように運んで、どのように固定すべきなのか、最初は戸惑うこともあるかもしれません。
そこで、われわれは、両面ガラス型を採用した発電所に対して、EPCサービス会社などによる会議に参加し、両面ガラス型の設置手法などを共有するようにしています。
設置作業のマニュアルを作成して提供するほか、固定時のポイントとなる治具のネジ締めの留意点などを説明しています。
また、O&M(運用・保守)において、年に2回、両面ガラス型の外観などを点検することを推奨しています。
両面ガラス型が日本のプロジェクトに向くと考えている理由は、信頼性や発電性能といったパネルそのものの特性以外にもあります。
それは、EPCサービスの優秀さです。まだ経験の少ない両面ガラス型でも、いち早く特徴を理解し、適切に施工してもらえている印象です。
――今後の日本市場を、どのように見ていますか。
産業用の固定買取価格の低下などを背景に、日本市場が縮小に向かうといった見方があるようですが、そうは考えていません。
まず、産業用は、未稼働の認定案件が約44GWも残っています。メガソーラーだけでも約25GW残っています。この需要で、今後5年間程度は、一定以上の安定した数量の市場規模が続くとみています。
その後は、住宅用やさまざまな施設の屋根上の市場が中心になってくるでしょう。われわれも、その市場に取り組んでいきます。
住宅用に関連して、日本企業の多くが、太陽光発電と蓄電池、電気自動車(EV)などにエネルギー管理システム(EMS)を組み合わせ、人工知能(AI)まで活用して最適制御するシステムを模索しています。この市場には、期待しています。