「高麗芝を植えてはいけない」

――クローバーのほかにも、被覆植物の活用で、「やってはいけないこと」はありますか。

緑地雑草科学研究所理事の伊藤操子氏
緑地雑草科学研究所理事の伊藤操子氏
(京都大学名誉教授)

伊藤(操) コメツブツメクサなど、輸入された広葉のカバープランツを裸地に安易に播いている例もありますが、これも向いていません。生育・開花時期が短く、枯れた際の外観がきたなく、美観上の問題があります。

 冒頭で被覆植物の代表例として、「芝」が挙げられましたが、メガソーラーで使う場合、特性を考慮して種類を選ぶことが大切です。例えば、ゴルフ場でよく使われる高麗芝、寒地型の洋芝は、防草効果が小さい上、環境適応性の幅が狭く、集約的な管理が必要です。

 また、バミューダグラスも刈り取り回数が多くなります。ゴルフ場などでは良いのですが、雑草対策を主目的に導入する場合、管理コストが高くなりすぎます。

 一方、芝などの被覆植物が雑草に負けるケースもあることから、むしろ、「雑草自体で被覆する」との考え方も聞きますが、これは大きな間違いです。雑草の植生は、形態や生育期が不揃いな多様な植物種の集団なので、均一的な管理は非常に難しくなります。

 被覆植物が雑草に負けて衰退するのは、種類の選択がよくないのか、管理が悪いために起こることがほとんどです。本来、適切に選び、管理された被覆植物なら、どんな雑草種にも優勢を維持できます。