雑草を抑制するセンチピード
暖地型芝の中でも、太陽光発電所に合った特性を考慮して、評価すると、主として法面緑化に使われている「センチピードグラス」(図2)、美観に優れる「セントオーガスチングラス」(図3)が向いていると思います。いずれも相対的に管理が楽なうえ、高麗芝などに比べると、雑草を抑制する効果に優れています。また、海岸沿いなどでは、耐塩性の高い「シーショアパスパラン」という暖地型芝もあります。
センチピートグラスの「センチ」は100、「ピート」は足を意味し、日本語で「ムカデ(百足)シバ」とも言います。横に伸びる「ほふく茎」がムカデのように多数の小さな葉が付いていることから、こう呼ばれています。
――外見上、高麗芝や野芝とも同じようにも見えますが、センチピードグラスとセントオーガスチングラスが、雑草に対して抑制力が高いのはなぜですか。
長沼 いずれもアレロパシーが強く、化学的物質の働きで雑草を抑制しているのが特徴です。もともと草の生えた場所でも、これらの芝が根付くに従い、草がなくなる場合さえあります。
都立の八王子霊園は、ほとんど高麗芝が植えられていて、雑草管理に苦労していました。少し前、管理者から「なぜか、草の生えない部分があるので、理由を調べて欲しい」というので見に行ったところ、その部分だけセンチピードグラスでした。前任者が種を播いたようです。もともと草が生える場所ですが、センチピードグラスが駆逐したのです(図4)。
こうした場所では、高麗芝を全面的にセンチピードグラスに変えることで、雑草管理が大幅に楽になることが予想されます。
例えば、中部国際空港では、当初からセンチピードグラスを大規模に導入し、効率的な雑草管理に成功しています(図5)。
この芝は、放置しても15~20cmの背丈にしかならないので、メガソーラーの雑草対策には向くと思います。ただ、「日陰に弱い」という短所があります。もともと暖地型芝生のほとんどは1日を通して日照が必要で、陰では育ちません。従って、太陽光パネルの下までセンチピードグラスを植えても根付かないでしょう。