10年前からICT機能は必須に

再エネを大量導入しつつも、出力制御率を数%程度に抑えるという方向性は、日本のように「ここまで再エネが増えたら、ここまで抑制する」というスタンスとはまったく違いますね。

安田 まさに欧州と日本では発想が違うのです。日本では、「従来の系統・運用で、再エネ導入はここまでが限界」という論理ですが、欧州では、「再エネの大量導入が前提で、それでも出力制御率を5%以内に抑えるには、系統や運用方法をどう改善すればいいか」と考えて、新しい系統運用の技術や手法を模索しています。

 これは20世紀と、21世紀の発想ぐらい大きな違いで、将来的にどちらの電力システムや系統技術が、世界をリードしていくことになるかは、明らかです。

日本よりも再エネ導入の進んだ欧州で、出力制御率が5%程度に収まっているのは、どのような技術革新があったのですか。

安田 何も特殊なことをしているわけではありません。再エネ設備にICT(情報通信技術)を導入して、リアルタイムで制御する運用を徹底しています。世界では当たり前のことです。例えば、スペインではすでに2006年に風力設備を系統に接続するには、法的にICT機能の搭載を義務化しました。10年以上前のことです。

 風力や太陽光をICTでリアルタイム制御することは、技術的にはそれほど高度なことではありません。技術というよりも、むしろ、制度や法律の問題です。

 日本では、こうした制度のないまま太陽光の大量導入が始まってしまったのです。これは大きな欠陥です。ようやくそれに気付き、遠隔制御システムの搭載に乗り出しました。制度に試行錯誤は付き物ですが、これがデンマークやスぺインなど再エネのパイオニアならば理解できます。日本は再エネ後発国でありながら、先人に学ぼうとしなかったのです。

 とはいえ今後、日本でもリアルタイム制御の導入が進んでいきます。そうなれば出力制御率は最大で5%、普通に系統運用を努力すれば2~3%で収まるでしょう。逆にこれを超えていくとなると問題で、その時は「努力が足りない」と批判すべきです。