出力変動のコストを透明化

――小売り全面自由化の中で、電力料金に再エネ賦課金を上乗せして徴収するというFITの仕組みは、維持できますか。

一橋大学大学院・商学研究科の山内弘隆教授
一橋大学大学院・商学研究科の山内弘隆教授
(出所:日経BP)

山内 再エネの導入に必要な割高分のコストを、賦課金として電気利用者すべてから徴収する、という仕組みは、JRが国鉄だった時代に赤字のローカル路線を支えてきた原理(内部補助)に似ています。都市部の収益性の高い路線の利益で地方の赤字路線を補填していました。

 こうした仕組みが可能になるのは、いくつかの前提があります。産業構造上、独占体に近い企業が運営しており、消費者にとって利用料金は税金のように避けらない支出になっていること。補填する事業に社会的正義があり、国民世論が支持していることです。

 FITで推進する再エネに社会的正義があることは今後も変わりませんが、電力システム改革の進展によって、小売部門の競争は激しくなります。参入企業が増え、料金メニューが多様化していくことや、再エネを選択して購入するなどの動きが出てくるなかで、これまで通りFITの賦課金が受け入れられるか、今後議論になるかもしれません。

――電力システム改革のなかで、FITのあり方自体が問われるということですか。

山内 いまのFITに加味されていない出力変動を吸収するコストをいかに負担していくか、そして、低圧部門でも独占が崩れ、料金メニューが多様化していくなかで、賦課金の徴収について、いかに理解を得るかなどが、今後のFITのあり方を考える上でのポイントになると思います。

 市場メカニズムのなかで再エネを普及させるという視点で言えば、出力変動のコストも透明化しつつ、消費者が再エネを選択することで、普及を促すというのが理想です。ただ、その場合、温暖化対策としての効果を適切に反映させるなら、炭素税などによって火力発電のカーボンコストも顕在化させたうえで、市場で競わせることも必要です。

 加えて、出力変動のコストは、今後、蓄電池やP2Gなどの技術進歩や低コスト化によって、下がってきます。容量市場などの制度設計に際しては、こうした系統の安定化技術の革新を促すような仕組みが重要になります。