また、中川雅治環境大臣がRE100の「大使」を務めるだけでなく、環境省は「再エネ100%」達成にコミット(約束)しています。外務省も再エネ100%にコミットしました。

RE100に参画している企業のうち、アップルやグーグルなどの25社は、すでに世界全体の事業活動で使っている電力の100%を、再エネで調達することを達成しています(アップルの関連ニュース、グーグルの関連ニュース)。
また、創設メンバーの1社であるIKEAは(関連ニュース)、同社が運営している店舗の数よりも、運用している風車の数の方が多い状況です。
日本の参画企業でも、例えば、大和ハウス工業は、佐田岬風力発電所(愛媛県西宇和郡伊方町:出力9MW)のほか、自社開発の建物の屋根上太陽光発電、水力発電など幅広く再エネに取り組んでいます。
企業が再エネの活用に取り組み始めている理由は、ビジネス面で利点があるからです。過去7年間で、太陽光発電のコストは70%以上下がりました。今後もコストは下がり続ける見通しで、さらに、再エネの使い勝手を高める蓄電池も進化し、活用しやすくなるでしょう。
そして、米国やメキシコ、そのほかの国々では、補助金などに頼っていない再エネ電力でも、石炭火力などによる電力に対して、価格競争力で上回り始めています。例えば、米国では、太陽光発電のコストが約2.1米セント/kWhという例も出てきました。これは、現在の日本の約10分の1です。
日本は、優れた電力系統を確立している国です。従来の集中的な発電を中心とするシステムに対しては、素晴らしい設計となっています。しかし、世の中の電力事情は急激に変化しています。系統も、どんどん変化する必要が出てきています。
例えば、太陽光発電のコストとして、国際エネルギー機関(IEA)の当初の予測では2040年や2045年までに下がるとされてきた水準を、2018年にすでに実現している状況です。予測を上回る変化が起きています。
このような中、先見の明のある国や地方の政府が、いち早く市場を企業に解放して再エネを大量に導入したり、再エネ電力を調達しやすいように環境を整備しています。
2018年1月には、調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)が、再エネ100%に関する投資機会は、約940億米ドル相当の規模に達するという予測を発表しました。
これだけの規模であれば、補助金に頼ったり、税金を使う必要はありません。企業による投資で十分に賄っていけるはずです。現実に、世界各国の企業は、まさにそうした形で動いています。
ぜひ、より多くの日本企業に挑戦してもらいたいと思います。日本の再エネ活用は、他の国に比べると、遅れ気味だと思います。それは、制度などに起因するところが大きいと感じています。
経済産業省は、この流れを理解し、主導しようと頑張っています。その努力を、さらに続けるとともに、もう少し野心的な目標を掲げてもらえると、さらに良い状況が開けてくるのではないでしょうか。
日本企業による再エネ関連の投資は活発になってきています。この市場は、急速に伸びています。今後も伸び続けるでしょう。市場が確実にあるわけですから、政府がさらに市場拡大を後押しし、他の国と同じように、再エネのコストが大幅に下がっていく動きをサポートして欲しいと思います。
約940億米ドルの市場のうち、日本の潜在市場を確実に掘り起こせるかどうかは、経産省にかかっています。日本企業のリーダーシップとうまく連携し、市場の潜在力が適切に開花することを期待しています。