――アップルの例で、サプライヤーを含めた効果が絶大という話がありました。一方で、日本は再エネを活用するコストが高く、調達も難しい面があります。この両方を考えると、今後、再エネの活用の難しさを理由に、拠点を日本以外に移したり、日本に拠点を新設することを断念する企業が出てきかねません。これを防ぐ方法はありますか。

たしかに、そのリスクは出てきています。というのは、BMWやアップルなどRE100の参画企業が今後、例えば、新たな製造拠点を立ち上げる際、再エネ電気の調達に適した場所を選ぶ可能性があるからです。
日本や韓国、台湾など、現在は再エネの自由な調達が難しい市場は、立地の候補から外すなどの選択もありえます。
実は、すでにこうした事例を知っていますが、参画企業の秘密保全を守る必要があるので、公表はできません。
こうした懸念が現実にならないように、日本国内での再エネ調達コストを下げることが重要です。世界で再エネのコストが7年間で75%も下がったのに対して、日本ではそこまで下がっていません。
日本には、太陽光発電や浮体式風力発電などの優れたメーカーが多いのに、なぜかそれを使った発電電力の活用がうまくいっていません。
日本の場合は、補助金や賦課金よりも、行政による障壁を取り除くことが先決です。環境さえ整えば、投資が洪水のように溢れる市場だと思っています。