一方、大手メーカーの多くは、より高効率で信頼性の高い製品が、海外でも受け入れられています。開発力や生産性に優れ、経営体力も安定している企業も多くあります。

 例えば、トリナ・ソーラーの場合には、2017年の収益に占める中国向けの比率は約40%で、海外向けが約60%という状況となっています。他の大手メーカーも、似たような状況にあり、今回の政策変更による影響度合いは相対的に低いといえます。

 大きな変化は、困難な状況をもたらしますが、逆にその状況を利用して、次の成長のために準備できる機会と捉えています。中国の太陽光発電設備メーカーにとって、真価が問われている状況にあります。トリナ・ソーラーも含めて、それぞれの企業の意識と取り組み次第になるでしょう。

――2017年の中国の太陽光発電設備の設置市場は約53GWと、2016年に比べて大幅に増えました。2018年の市場は、今回の政策変更を受けて、最も悲観的には20GW台、良くても30~40GW台に縮小するなど、予想にはばらつきが大きい状況です。トリナ・ソーラーでは、どのように予想していますか。

 2018年の設置市場は、40GW程度になるのではと予想しています。前年の約53GWから比べると、15~20GW程度の市場がなくなる可能性があります。

 ただし、この40GWという数値は、純粋に2018年の新設需要ということではありません。本来は2017年末までに出荷や設置が終わっていたはずの太陽光発電設備のうち、遅れてしまっていたものを含んでいます。

――2017年の中国市場は、前の年の2倍近い約53GWと、極端に拡大しました。無理のない導入に必要な周辺環境を考えると、それは増えすぎで、例えば、2016年の30GW程度が適正にも感じます。トリナ・ソーラーの2018年の見通しである約40GWは、その範囲にはあり、なおかつ、2016年からは増えています。

 中国の政府は、再エネが将来に向けたエネルギーとしてふさわしい電源と考え、重視しています。ただし、2016~2017年は、設置市場や生産能力の拡大のペースが速すぎたのだと思います。政府は特に、固定価格買取制度(FIT)の賦課金や補助金などを用意する必要があることから、予想を大幅に超える導入は、大きなプレッシャーになります。

 また、集中型のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の計画の多くは、西北部や新疆などに位置します。それも、出力100MW、200MWなどという巨大な規模の計画も目立ちます。

 こうした地域への巨大なメガソーラーの導入は、需要地から遠いために、地域内で発電電力を使いきれず、長距離の送電線の整備と並行して取り組むことが重要です。しかし、地方政府が送電線への投資を実行するのかどうか、不明瞭な部分があります。

 中国の場合、不動産への投資が活発で、それが成長を牽引してきた面があります。地方政府によるインフラ関連の投資も、他の不動産関連の投資に比べて、どれだけ事業性が高いかやKPI(重要業績評価指標)が実行の基準になる面があるためです。

 西北部などの巨大なメガソーラーは、もし送電線への投資が計画通りに実行されなかったら、いくら発電しても、その多くを売電できない状況に陥ります。

 こうした状況も含めて、中央政府の政策の意図以上に導入が進みすぎたことから、少し抑えて適正なペースで、安定的かつ持続的に太陽光発電の導入が進むように、政策を適切な方向に改めたと捉えています。そうすれば、周辺環境などを整備しながら、太陽光発電をより円滑に導入できるでしょう。