――日本でもFITが始まって以降、送電線の空き容量の不足を理由に、九州電力をはじめとする電力各社が接続申し込みへの回答を保留したり、大規模案件には入札制度を導入するなど、導入量の管理に関して試行錯誤が続いています。規模などは違いますが、似たような状況が起きているのでしょうか。
同じような部分があるかもしれません。世界のどこでも、企業や人間の利益追求や行動には、似通ったところがあると思います。
――トリナ・ソーラーが3月に常州で開催した設立20周年記念のイベントの一環で、Bloomberg New Energy Finance(BNEF)の中国の担当者による市場予測として、2018年以降、集中型が急速に縮小し、その縮小分を補うように、分散型が拡大していくという分析がありました(図1)。政策変更前の予測ですが、傾向としては概ねこうした推移が見込まれているのでしょうか。
そのように思います。この予想では、分散型が4種類に分類されていて、最も大きいのが工場の屋根で、このほか、農村部の貧困削減プログラム、住宅の屋根、地上設置に分類されています。
減っていくと予想されている集中型は、3種類に分類されています。トップランナープログラム、農村部の貧困削減プログラム、地上設置です。工場の屋根が、最も比率が高く、今後も拡大していくと予想しているのは適切だと感じます。
工場の屋根を活用した太陽光発電が重視されている理由は、PM2.5(微小粒子状物質)などに代表される、大気汚染や環境汚染の原因が、工場にあるためです。環境の改善に関して、工場が大きな責任を担うべき状況にあり、再エネの導入によって化石燃料の利用を低減することも、その一環と位置付けられています。
分散型と集中型の両方に、農村部の貧困削減プログラムと、地上設置が含まれています。農村部の貧困削減プログラムは、今回の政策変更後も、重点的に進めていく対象となっています。中国の人口の約80%が、こうした農村地域に集中しているために、社会の安定を目的としたプログラムとなっています。
また、地上設置の分散型と集中型の区分けとして、「分散型の地上設置」とは、一つのプロジェクトあたりの規模が比較的小さく、かつ、需要地の近くに立地するために送電距離が短い案件です。農地や漁業と関連した太陽光発電プロジェクトなどが代表例で、オフグリッドのプロジェクトの場合もあります。
一方、「集中型の地上設置」は、一つのプロジェクト当たりの出力が10MW以上と大規模です。そして、山間部や広い土地に立地します。需要地から遠く離れていることから、連系先は長距離を結ぶ超高圧の送電線となります。