「竹チップ」の活用例も
――ヒノキのチップが雑草を抑制する効果が大きいのはなぜですか。

伊藤(操) 実験結果では、資材ごとに遮光率に大きな差がない一方、土壌生物活性と雑草抑制効果に相関があることから、資材からの溶脱物質、つまりアレロパシー効果が大きく左右していることが推察されました。ヒノキの雑草抑制効果が大きいのも、溶出する物質によるものでしょう。
こうした結果を見ると、例えば、地域の林業関係者などと提携し、定期的にヒノキのチップをマルチ資材として活用できれば、大きな除草抑制効果が期待できます。
伊藤(幹) こうした樹種による雑草抑制効果の違いのほか、部位による特徴もあります。枝打ちしたままの枝葉よりも木部のチップ、木部チップよりも樹皮や落葉の方が雑草抑制の効果は大きい傾向があります。
また、食品残渣系を雑草抑制の大きい順に並べると、コーヒー殻、茶殻、サトウキビ残渣の順、農産物残渣では、トウモロコシ穂軸殻、麦・稲ワラ、モミ・ソバ殻の順になります(図8)。

こうした残渣系のマルチ資材は、一次産業だけでなく、地域の食品工場と連携して、定期的に低コストで調達できる可能性もあります。
また、竹林が増え、伐採した竹材の処理に困っているなか、竹をチップ化する技術が開発されています。竹チップをマルチ資材に活用すれば、地域からも喜ばれるでしょう(図9)。