年2回の点検で適切に補修
――防草シートは一般的に10年程度で張り替える必要があると言われますが、耐久性はどのように決まるのですか。

佐治 防草シートの製品自体は、メーカーの設定した期間以上の耐用年数をもっていますが、実際に設置した現場が、その期間、防草機能を維持できるかは、現場の手入れ次第になります。
例えば、現場では時間の経過につれて、シート上に土埃が堆積しますし、太陽光の紫外線により強度が劣化します。車両の乗り上げやタバコのポイ捨てなど、外的な要因で破れてしまうこともあります。シートの適切な維持がたいへん重要です。
具体的には、年に2回以上の点検を推奨しています。特に雪解けの後や台風シーズンの後は、除雪車による破損や強風による「めくれ」の有無を確認しておく必要があります。
点検の結果、シート上に堆積物がある場合は、ほうきなどで払っておきます。破れやめくれなどが軽微な時は、部分的な補修で対応します。
例えば、ピン穴から雑草が生えていたら、草を抜いてピンシールを貼りなおします。重ね部分から雑草が生えた場合も、雑草を抜き取った上で、必要なら重ね部分を接着剤や粘着テープで処理します。
部分的な補修では対応し切れない場合、例えば、広範囲にわたって破損している場合やシートの強度が著しく低下している時には、シートを廃棄して更新します。シートを廃棄する場合には、産業廃棄物として基本的には埋め立て処分されます。
――マルチ資材の単価は、防草シートの場合、数百円/m2程度といわれますが、更新や廃棄費用を考慮すると、負担はさらに増えるということですね。

伊藤(幹) マルチ資材のコストは、単に防草効果だけが目的なのか、周辺環境への配慮を含めた評判リスクなど、見えない便益を含めるのかなどで費用対効果は異なってきます。1m2当たりの単価では、砂利や砕石は3000~4000円/m2が相場のため、防草シートよりかなり高いですが、更新の心配は減ります。木材チップや残渣系の有機資材は、かなり安く手に入る可能性がありますが、定期的に補充する必要があります。
いずれにせよ、あらかじめその目的をはっきりさせ、適切なマルチ資材やほかの除草手段などを組み合わせて設計しておくことが、生涯コストでは結局、安くつくと思います。