今のコストは欧州の2倍

太陽光に関していえば、FITの買取価格低下に促される形で、導入コストは着実に低下しています。

山崎 もちろんFIT初期の案件に比べると下がっています。ただ、国内の最新の太陽光発電の建設・運営コストでも、大雑把に言って欧州の2倍です。主力電源になるには、これをさらに引き下げ、国内のほかの電源に対してコスト競争力を持つことが必須です(図1)。

図1●太陽光と陸上風力発電のLCOEと落札価格の関係
図1●太陽光と陸上風力発電のLCOEと落札価格の関係
注:LCOEとは均等化発電原価(Levelized Cost of Electricity:)(出所:経済産業省)
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 すでにFITを通じた国民負担は2兆円に達しています。今後、賦課金はさらに膨らむ可能性が高く、これは深刻な問題です。「主力電源」と呼ぶには、FITに頼らず、自立して他の電源と競争して普及することが大前提になります。

太陽光関連の企業経営者の思いとして、「認定量の規模がミックス目標の水準に近づくなか、さらに目標値を積み増し、市場のさらなる拡大を示してくれないと追加投資を決断できない。投資できないとコストも下がらない」との声をよく聞きます。

経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長
経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長
(撮影:清水盟貴)

山崎 FITを導入して8年目に入り、それなりの認定量が積み上がってきたなか、再エネ関係者のなかには、それぞれの電源に関して、今のコスト水準で導入可能なポテンシャルも見えてきたと思います。繰り返しになりますが、今のコスト水準のままであるなら、FITに頼らず自立して導入が進むには限界があります。

 それでも22~24%を超えて目標値を上げ、それを達成するために、コストが高くても導入すべきと言うならば、それは違います。まずは「FITから自立できる電源」を全力で目指し、例えば、太陽光は7円/kWh、風力なら8~9円/kWh程度の発電コストにめどが立ち、FITなしでの既存発電所への再投資、好立地での新規開発が可能になってきた時点で初めて、新たな目標値を設定し、市場規模の拡大を議論できるのだと思います。

 これまでも言ってきましたが、エネルギーミックスの数値は、将来的に確定した「キャップ(上限枠)」ではありません。今後、コスト削減がさらに進み、ほかの電力と比べて競争力が高まることが見えてきた時点で、22~24%にさらに上乗せすることも十分にあり得ますが、いまはまだその時期ではないということです。

二つ目の課題である「長期安定電源化」に関しては、どの程度の事業期間を想定していますか。

 「長期安定電源」という場合、FITの終わる20年後、発電設備に再投資をして、もう20年、30年という長期で発電し続けることを想定しています。

 一般的に太陽光パネルは20年以上、発電できると言われます。それでも、再投資しなければ、事業的には25~26年が限界かもしれません。FIT後も発電を続けて欲しいというのは、そのままの設備を適切に保守して、FIT後も5~6年、事業を続けるというのではなく、さらに数十年間の発電事業を想定して、全てのパネルを新品に張り替えるイメージです。

 そうでないと、いったん22~24%を達成しても、FIT終了と共に、次々と発電事業者がエネルギー市場から撤退し、すぐにエネルギーミックスの目標値を下回ってしまいます。それでは、国を支える「エネルギー政策」としては意味がありません。

 そうした視点で見ると、現在、稼働している再エネや認定案件のなかで、「長期安定電源」としてカウントできないものも、かなり含まれている可能性があります。