買取費用総額「4兆円」の重み

FITの賦課金による国民負担は極めて深刻な問題とのことですが、2018年度で3.1兆円となった買取費用総額は、今後、どの程度まで膨らみそうですか?

山崎 買取費用の総額は2018年度に3.1兆円で、そこから回避可能費用を差し引いた賦課金は2.4兆円で、これが国民負担になります。今後、これがどの程度まで膨らむかに関しては、いくつかの前提条件を置く必要があり、簡単には示せません。特に認定量の多い太陽光、バイオマスの失効量、未稼働案件のうちどの程度が運開するかで大きく変わります。

 ただ、現時点で言えることは、2兆円を費やしも、再エネ比率を10%から15%と、約5ポイントしか増やせていない、ということです。国民負担2兆円というのは、消費税1%に相当します。この負担感に関して、すでに厳しい批判があることは事実です。

 FITを導入する国々のなかで、賦課金当たりの再エネ増加率を比較してみると、日本の「2兆円で5%」という費用は突出して高く、費用対効果に劣っています。このことは、今後を考えるうえで、しっかりと受け止める必要があります。

政府はエネルギー基本計画で、再エネ比率24%を達成するために費やす買取費用総額を「4兆円」としています。大雑把に言うと、あと2兆円で、これまでの2倍となる10ポイント分の再エネを増やすことになります。すでに3.1兆円まで増えていることを考えると、今後、FIT初期の太陽光や、設備利用率の高いバイオマス発電の導入状況によっては、4兆円を超えてしまう恐れもあります。その場合、どんな対応になりますか。

山崎 「買取費用総額を4兆円に抑える」というのは、政府が決めた目標です。この範囲に収まるようにすべきで、キャップではありませんが、大幅に超えていいかと言うとそういうことにはなりません。

 今後の試算は、不確定要素が多く難しいのですが、16GWもの案件が失効し、今後もさらに失効案件が出てくることや、未稼働のまま断念する案件などを見込めば、4兆円を大幅に超えるようなことはないと見ています。ただ、すでに3.1兆円になったことを考えると、残された「隙間」はそれほどなく、超えてしまう可能性もあります。

 その際の対応に関して、現実的には、どの程度、超えるかで変わってくるでしょう。超過額によっては、国民的な議論を経て、対応を決めていくことになります(図2)。

図2●買取費用総額と再エネ比率の関係。2兆円で再エネ比率5ポイント上がった
図2●買取費用総額と再エネ比率の関係。2兆円で再エネ比率5ポイント上がった
(出所:経済産業省)
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