春の「引きはがし」は効果あり

刈り払いで、成長量を増やしてしまうとは、どういうことですか。

緑地雑草科学研究所の伊藤操子・理事
緑地雑草科学研究所の伊藤操子・理事

伊藤(操) 刈り払いによるダメージとして挙げた、「茎があちこちで分断される」ことによる効果です。茎が分断された場合、それぞれの茎の節が活発に成長し始めるため、長期的に見ると、分断されなかった場合よりも、かえって成長量が多くなります。

 つまり、クズの繁茂を「刈り払い」だけで対応することは、目指すべき「弱体化」とは明らかに逆行しており、現在、クズが増え続ける一因になっている可能性さえあります。

発芽点である茎の節を除去できれば、成長は抑えられませんか。

伊藤(操) 時期によって、それが可能なのが、「引きはがし」です。6~8月の発育段階にツルを手で引っ張ると、根ごと節を除去できます。この際、根だけが残っても、すべて死滅します。しかし、9月には節根が深くなってむしりにくくなり、10月以降だと、引っ張っても節と根の多くが残り、翌年はそこから新芽が伸びてきます。

伊藤(幹) ツルの「刈り払い」でも、手間をかけて節根も切除すれば、翌年の成長が抑えられるはずで、これまでそう言われてきました。ただ、最近の研究では、節のなくなった茎の一部にカルス(分化全能性の細胞)が形成され、新茎が出ることがあるとの報告もあります。そうなると、節を除去しても茎が残っていれば再生する可能性があります

株元である主根を掘り取ってしまえば、その株は衰退していくのですか。

伊藤(操) クズの知識のない一般の人が、クズの除草に取り組み始めると、株元がクズの中心で、それを掘り取ってしまえば、防除できると思い込みやすいのは確かです。しかし新茎は、多年生茎の節から芽が出るので、萌芽力のない根を掘り出したり、根の組織を破壊したりしても、クズの成長は抑えられません(図8)。

図8●地面に見えるクズの株元と地中でのイメージ(出所:緑地雑草科学研究所)
図8●地面に見えるクズの株元と地中でのイメージ(出所:緑地雑草科学研究所)
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