化学薬剤で成長点を阻害

緑地雑草科学研究所の伊藤幹二・理事
緑地雑草科学研究所の伊藤幹二・理事

伊藤(幹) 化学薬剤で植生を制御する場合、大きく2つのタイプがあります。クズを含めて植生全体を長期間、枯死させる「非選択性の土壌処理剤」と、茎葉から吸収された後、光合成産物とともに体内を移動して作用点に到達して成長を阻害する「選択性の茎葉処理剤」です。

 非選択性の土壌処理剤は、クズを除去した後、土壌流出を抑えるために他の植生に移行させたり、植栽したりするエリアには利用できません。その場合、フェンスの周りなど、刈り払いや防草シートを使用できない部分に限定して使うなどの利用が想定されます。

 また、選択性の茎葉処理剤で、日本でも農薬登録されているホルモン系薬剤は、クズに対し2年の連用で90%以上、抑制され、クズに代わる植生に変わったケースがあります。この薬剤で処理したクズは、茎が曲がったり、ねじれたり、葉の巻きや黄化などが見られますが、最終的には、成長点の細胞分裂が阻害されて枯死します。

 非選択性と選択性のどちらを使うのか、また、刈り取りや防草シートなどほかの手法とどう組み合わせるのか、など、それぞれの管理地によって、決めていくことになります。

周辺地域への配慮から、化学薬剤は使いたくない、というメガソーラー事業者が多いのが実態です。

伊藤(幹) 化学薬剤による風評被害を気にする事業者が多いことは認識しています。ただ、日本の農家の99%は、除草剤を使っています。国の機関などが研究した除草剤の適切な使用手順が作物ごとに確立しており、農家はそれに基づいて作業しています。

 メガソーラーという新たな造営物における、クズを含めた雑草に適切に対処するには、今後、こうした目標とすべき管理手法(最良管理慣行)を確立する必要があります。

 クズのように、かつて盛んに栽培されながら、時代の変化とともに放置されたような種を「遺存植物」と呼びます。遺存種の多くは衰退していきますが、クズはその繁殖力の強さから、大繁茂して日本中で厄介者になっています。

 しかし、縄文時代から長らく日本人の生活を支え、自然環境と調和してきました。こうした日本の自然文化遺産とも言える「クズ」を、単に邪魔者で排除の対象として捉えるのは残念なことです。科学的で適切な管理手法によって、再び「秋の七草」の「葛」として、うまく共存していく道を探りたいものです。

 緑地雑草科学研究所では、公開シンポジウム「クズ問題とどう取り組むか~その科学と技術~」を10月14日に名古屋市で開催します。クズの管理・制御に関心のある方はご参加ください(http://www.bousou-ken.org/iuws-symposium_2018.pdf)。

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